第2章 2
◆
「どうですか?」
目をキラキラと輝かせながら、彩夏が俺に訊く。
……この期待を裏切って良いものか。
どんな反応を返そうかしばし悩んだが、
「やっぱ不味い」
俺は紅茶に手を伸ばした。
えー、と彩夏が口を尖らせる。
そんな彩夏に俺は、
「ま、彩夏と一緒やから食えるけどな」
と笑って答えた。
……これも、本音。
彩夏も俺につられる様に笑った。
──そう、こんな笑顔をずっと見たかったんや。
◇
ケーキを食べながら、紅茶を飲みながら、私は久し振りにyasuさんとたくさん話をした。
──yasuさんが最近ハマっているマンガのこと。
──私が最近食べた美味しい物のこと(「kiyoに似てきたな」って笑われた)。
──yasuさんがよく聴く音楽のこと。
──私の実家のネコのこと。
「え?彩夏ってネコ飼ってたん?」
「実家で…。私が…っていうよりも、祖母が、でしたけど」
「へぇ~そうなんや~」
意外だ、とでもいう様にyasuさんが目を大きく開いて首を傾げる。
「あ、ネコの他にイヌも飼ってますよ」
「お、イヌ!!名前は?」
私は言うのを躊躇った。
「……笑わないで下さいよ?」
「笑わんって(笑)」
……もう笑ってるじゃないですか!!
「……………『ポチ』。」
「あっはっはっはっ!!!!」
言った瞬間、yasuさんは大爆笑した。