第2章 2
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冷蔵庫の前にしゃがんだまま、彩夏が訊き返した。
俺はコンビニのケーキの透明な蓋を外し、白いケーキ皿の上にケーキを置き、ケーキの周りのフィルムを取る。
「ほら、よく言うやろ。『不味い物でも皆で食えば美味い』って♪」
「………」
彩夏はきょとんとしとる。
俺は傍らにあったフォークを皿に載せ、ティーカップが載っていた丸い盆に置き、冷蔵庫の前にしゃがんだままの彩夏を促した。
「ほら、食うで」
◇
「「いっただっきま~す♪」」
二人でテーブルにつき、手を合わせて食前の挨拶をする。
yasuさんは『コンビニのケーキなんて不味い』って暗喩してたけど(『暗喩』じゃないか。あからさまに言ってたな)、ケーキはケーキ、食べられることが素直に嬉しい。
それに……うん、一人じゃないから。
ケーキにフォークを刺し、一口分の大きさにすくい取る。
そしてそのまま口に運び、ゆっくり味わう。
……甘い生クリーム、少し酸っぱいイチゴ、ちょっと水分が染みたスポンジ。
「ん~美味しい♪」
「そうかぁ~?」
yasuさんは、信じられない、という様に眉間にシワを寄せて私を見ている。
それから私と同じ様に一口大にケーキをすくい、口に運ぶ。
「………」