第7章 らっとまんはんと
夢主の手が、まだ頭に添えられている。
撫でる動きはもう止まっていたけれど、それでも、そこにあるだけで十分だった。
毛布の中で息をひそめるように、ランダルは胸元に頬を寄せたまま、静かに息を吐いた。
「ねぇ、……」
闇の中に、小さな声が落ちる。
「はさ……ボクのこと……」
続けようとした言葉は、すぐに喉の奥で溶けていった。
答えはない。声もない。
夢主はもう眠ってしまったのかもしれない。
それとも、ただ聞かなかったふりをしているのか。
いつもどおり、黙っているだけなのか。
ランダルには、それがわからなかった。
わからないことに、少しだけ胸がつまる。
「……ま、いっか。ボクが、わかってれば」
独り言のようにそうつぶやいて、ランダルは瞼を閉じた。
胸元に感じる体温だけが、たしかにここにあった。
そのことだけが、今夜の安らぎだった。