• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第7章 らっとまんはんと


その言葉を境に、廊下に静けさが落ちた。



血のにおいも薄れ、風の音すら聞こえるような気がする。



ふたりの間に満ちていたぬくもりが、ゆるやかに溶けていく――そのとき。



廊下の奥から、どこか軽やかで、少しせっかちな足音が聞こえてきた。



テンポの速いその音は、まっすぐにこちらへ向かってくる。



私は、その足音を知っていた。



ランダルだった。



小さく跳ねるようなリズムで近づいてきた彼は、
ふたりの前に現れると、にこりと笑って手をひらひらと振った。



「おつかれさま、。……こわくなかった?」



私の前で立ち止まると、ランダルはしゃがみこみ、目線を合わせてくる。
その声も、仕草も、“迎えに来た”主のようだった。



「ちゃんと、ニョンと一緒にいたね。えらい、えらい」



白い手袋ごしに、ふわりと私の頭を撫でながら、
ランダルはちらりとニョンの方へ視線を向ける。



「ありがとね、ニョン。のこと、ちゃんと守ってくれて」



ニョンはわずかに目を伏せ、小さくうなずいた。
その耳の先がほんのり赤くなっていたのは、気のせいだったかもしれない。



ランダルは立ち上がり、私の手をとった。



くい、とやさしく引かれて、私は自然とその動きについていった。



ふたつの足音が並んで廊下を離れていく。
そのテンポはやや速くて、でもどこか楽しげだった。



その背を、ニョンは黙って見送っていた。



空気が、ひとつの区切りを迎えたように感じられた。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp