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【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


棺の中は、思っていたよりもあたたかかった。



中には毛布が二枚、まくらも二つ。
寝るのに困るものは、なにもなかった。



でも、ランダルは毛布を一枚だけ引っ張り出すと、もう一枚は邪魔そうに足元へ押しやった。
くしゃっと丸められた毛布が、棺の隅で小さく沈む。



ランダルはそのまま、選んだ一枚の毛布をふわりと広げて中に潜りこむ。



「ほら、。こっちー」



私も促されるまま、その横に身体を滑らせた。



一枚の毛布にふたりでくるまると、すぐに腕や足が触れた。
狭さも重なりも、もう慣れているものだった。



ランダルの声が、すぐ近くで落ちてくる。



「……朝、学校行くの、ちょっとだけやだったんだよ」



囁くような声だった。甘く、低く、湿っていた。



「ルーサー兄さんに預けたから、まぁ大丈夫だろうって思ったけどさ……
ほんとはボクも、も、セバスチャンも、3人で一緒に行けたらいいのにね」



毛布の下で、私の背中をゆっくり撫でる手がある。
やさしいふりをして、ずっと同じところを撫でてくる。



「教室の机、3つ並べてさ。ボクが真ん中で。
……そしたら、昼休みもいっしょにいられるでしょ?」



私は何も言わず、目を閉じた。
それが返事として通じたのか、ランダルの身体がさらに寄ってくる。



「ふふ……やっぱり、はボクのこと、だーいすきだよね」



耳元にぴたりと唇が寄せられ、甘ったるい声が流れ込んでくる。



「ボクも愛してるよ、。
かわいくて、やわらかくて、いい匂いで……ボクだけのプリンセス」



囁くたびに、ランダルの指が背中を撫でていく。
優しい手のはずなのに、どこか気持ちよすぎて怖くなる。



「今夜は、ぜんぶボクが守ってあげる。
……この棺の中は、だけのお城。ボクだけの、女王さま」



棺の中には、もう他の音はなかった。
ただ、ランダルの囁きと、呼吸と、ぬくもりだけが残っていた。
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