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【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


キッチンからは、いいにおいがしていた。
スープの湯気が立ちのぼり、オーブンからは甘い焦げ目の香りが漂っている。



ダイニングの明かりはほんのりと黄色くて、
その中に並べられた皿やカトラリーが、どこか家族っぽく見えた。



すでに、セバスチャンはテーブルについていた。
姿勢よく椅子に腰かけ、両手を膝に置いたまま、静かに料理の湯気を眺めている。



ランダルはその姿に気づくと、ふっと目を細めた。



「セバスチャン、ちゃんといい子にしてたんだね」



声には穏やかな笑みが混じっていて、
テーブルを囲むペットたちの様子に、どこか満足そうな気配が漂っていた。



それから私の手を引いたまま、テーブルまで来て、ふと手を離す。



くるりと身をひるがえし、椅子の背に手をかけると、
ふざけたような調子で、けれどどこか恭しい仕草で椅子を引いた。



「さあどうぞ、マイプリンセス」



ちょっとだけ首をかしげて、目を細めてみせる。



私は小さく、くすりと笑った。



「ありがとう」



そう言って、静かに腰を下ろす。
椅子の座面がふわりと受け止めてくれた。



ニョンはテーブルの端にちょこんと座り、ぺたんと前足を揃えている。



ニェンは反対側の席に腰を下ろしていた。
姿勢は正しく、両手を膝の上に添えたまま、目を細めて料理をじっと見ている。
その表情には、静かな真剣さが宿っていた。



ルーサーは最後の皿を並べ終えると、席につきながらこちらを見て声をかけた。



「、ちゃんと食べられそうかい?」



私は小さくうなずいた。



それだけで、ルーサーはうっすらと目を細め、なにも言わず前を向いた。



お皿の上には、ほかほかのスープ。
きれいな焼き色のパンが添えられていた。



その湯気の向こう側に、キャットマンたちとランダル、そしてセバスチャンが並んでいて、
それがなぜか、絵の中のように、静かで、やさしく見えた。
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