第6章 おしえて、るーさーさん
「……ふん」
ニェンは鼻を鳴らすと、そのまま私の隣にどかっと腰を下ろした。
ソファの座面が沈んで、私の身体がわずかに揺れた。
足を大きく開いて座るものだから、その膝が私の足にかすかに触れた。
とくに謝りはしなかった。
けれど、それ以上押しつけてくることもなかった。
私はそのまま、何もしなかった。
すぐあとから、ニョンがそっと近づいてきた。
ソファには上がらず、横にちょこんと座り込む。
私とニェンを交互に見て、耳をくるりとまわしながら、しっぽを前足に巻きつける。
誰もしゃべらなかった。
でも、その沈黙はもう、さっきまでのものとは違っていた。
なんとなく、それぞれの居場所に馴染んでいるような。
ぴたりと間隔の合った空気が、ソファの周りにだけ漂っていた。
テレビの音が、やわらかく耳の奥に届く。
私は、何も考えず、ただ目を瞬かせていた。
この空気がなんなのかは、やっぱりうまく言えなかった。