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【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


「……どうして?」



自然に、言葉がこぼれた。
深く考えたわけじゃなかった。ただ、疑問だった。



目の前のニェンが、なぜそこまで怒っているのか。



ニェンの顔がわずかに揺らいだ。
眉が引きつれ、言葉が一拍だけ遅れる。



「……は?」



その一音の中に、いくつもの感情が詰まっていた。
驚き、困惑、苛立ち、そしてどこか戸惑い。



けれどすぐに、表情が元に戻る。



「お前、ほんとにわかってねぇんだな」



そう吐き捨てるように言ってから、ニェンは背筋を伸ばした。
わざとらしく胸を張り、ソファに座る私を見下ろす。



「この家にはな、ちゃんと“階級”ってもんがあるんだよ」



ニェンは指を一本立てて、空中で順を追うように振る。



「いちばん上は、ご主人様……ルーサー様だ」



「次がランダル。……あいつはまあ、特別だ」



「その次が……俺」



誇らしげに胸を叩いた。



「その下にニョン、セバスチャン」



そして、最後に。



「――で、いちばん下がオマエ。末席。ぺーぺー」



言い切ると、勝ち誇ったように口角が上がった。



私は黙って、ただ聞いていた。



ニェンは構わず続けた。



「俺はな、この家の“番猫”みたいなもんだ」



「ネズミだって絶対逃さねぇ。誰が来ても、外の音がしても、俺が真っ先に気づく」



「この家は、俺が守ってる」



「オマエなんかと、格がちげぇんだよ」



言葉が刃物のように並べられていく。
けれど、そのどれもが、どこかで“見せつけたがっている”ようにも見えた。



ニョンはうつむきながらも、ニェンの影に怯えるようにそっと耳を伏せていた。
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