• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


まぶたが重たくなってきた。



ルーサーの指が、一定のリズムで髪を撫でている。
そのぬくもりが、頭の奥をぼんやりと溶かしていくようだった。



私の頬は、ルーサーの胸元に触れていた。
聞こえるのは、テレビの音と、キャットマンたちの気配、そして、ルーサーのゆっくりとした呼吸。



瞬きの合間に、世界がすこしずつ滲んでいく。



そのとき、ギリッ、と音がした。



視線を向けなくても、それが誰のものかはわかった。



ニェンだった。
ソファの端で、片脚を揺らしながら、こちらを睨みつけていた。
爪が肘掛けに深く食い込んでいる。ぐっと力が入るたびに、布地がかすかに裂けていく。



その顔は、もう無表情を保てていなかった。
牙を噛みしめ、鼻の奥でくぐもった息が漏れている。



ニョンが、その横でそわそわと耳を動かした。



ちらちらとニェンを見ては、目を泳がせている。
しっぽの先が早く揺れて、足元が少しずつソファの端に寄っている。



「……にゃ……」



ようやく漏れた小さな声も、空気を変えるには至らなかった。



私は、何も言わなかった。言う理由がわからなかった。
まぶたの縁がぬるく湿って、目を閉じるまで、もうそう時間はかからなかった。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp