• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


キャットマンたちは、まだテレビのほうを見ていた。



ニョンは音に反応して耳を動かしながら、画面をじっと見つめている。
ニェンもそれを真似るように視線を向けてはいたが、ちらりちらりとこちらを盗み見るその目は、どうにも落ち着きがなかった。



ルーサーの指は、私の髪からそっと離れて、また膝の上に戻った。
それでも私の視線は、彼から逸れなかった。



そのまま、小さく口を開いた。



「……ときどき、もやもや、する」



それは、自分でもどこから出てきた言葉なのかよくわからなかった。
胸の奥に残る、うまく掴めない煙のような感覚。



ルーサーの指が、ふたたび私に触れた。



「――そう」



そのまま、頬へ。指の腹が、やわらかく肌をなぞる。



「では、すこしいじってあげよう」



やさしく微笑むことも、冷たく脅すこともないその声音は、どこか異質で、ただ事実を述べているようだった。



指先が、私の頬に沈んでいく。



押し込むでも、切り裂くでもない。まるで、柔らかい膜をゆっくりとくぐっていくような動き。
肉も骨も、そこにあるはずなのに、何も抵抗がなかった。



ぬるり、とした何かが触れた気がして、私は息を止めた。



けれど、逃げることはなかった。
それが恐ろしいことなのかどうかも、まだよくわからなかったから。

/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp