第6章 おしえて、るーさーさん
リビングには、既にキャットマンたちが揃っていた。
ニェンはソファの背にもたれかかり、組んだ腕と脚を崩さないまま、こちらを睨んでいる。
眉間にはうっすらと皺。まるで、ただ座っているだけのこちらが何か“盗った”かのような視線だった。
そのすぐそば。とはいえ、決して寄り添う距離ではなく――
ニョンは床に腰を下ろし、どこか所在なげにしっぽを揺らしていた。
くつろいでいるようで、耳の角度がこちらを意識しているのが分かる。
ルーサーはふたりの様子に目を向けることなく、ソファへ静かに腰を下ろした。
私はその膝の上に、当たり前のように座らされる。とくに理由も聞かれず、拒否の余地もないままに。
ピクリ、とニェンの耳が動いた。視線がさらに鋭くなる。
「仲良くするんだよ」
ルーサーの声が、濁りなく滑らかに落ちた。
まるで、命令ではない命令のような音だった。
ニェンは目を細めたまま何も言わず、ほんのわずかだけ顔を逸らす。
不満を呑み込むように、口元がわずかに強張っていた。
ニョンはその様子を見て、小さくしっぽを揺らした。
視線が私に向きかけて、すぐにまた逸れる。声はかけてこない。
私は、ルーサーの膝の上でおとなしく座っていた。
何かが刺さるような感覚が肌に触れていたけれど、それでも、ここを離れる理由はなかった。