• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第6章 おしえて、るーさーさん


朝、出発の時間になっても、ランダルはなかなか玄関から離れなかった。



「……ほんとに、ほんとに、ほんとに大事にしてよ?は、すっごく繊細なんだから……」



靴を履いたまま、じっとこちらを見上げている。ぎゅっと握られた手には、まだ少し未練が残っているようだった。



「ちょっとしたことでも、びっくりしちゃうかもしれないし……すぐに疲れちゃうし……甘やかしてあげてね……ちゃんと……ちゃんと、やさしく、やさしく……」



ルーサーは言葉には返さず、そっと手を伸ばしてランダルの襟元に触れた。
指先でわずかにずれた襟の角度を整え、胸元のボタンを指で軽くなぞるように確認する。
肩に落ちた小さな繊維を払うと、金属の指輪をはめた手が、ほんのわずかに光を弾いた。



「……まかせなさい。大事に、かわいがるよ」



その声は変わらず、静かで、感情の波を一切含まない。けれど、それでもランダルはようやく小さく頷いた。



「……ほんとに、ほんとに頼むよ……兄さん。行ってきます」



名残惜しそうに振り返りながら、ランダルは玄関をあとにした。



その姿が見えなくなると、私はそっとルーサーの手に触れた。
ルーサーは振り返り、少し首をかしげただけで、なにも聞かずに私を抱き上げた。



そのまま、運ばれていく。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp