• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第3章 ひとつぶのよる


ランダルの手が、またの髪へ伸びてくる。



さっきよりも、少しだけ優しい。

ぐしゃぐしゃにかき回すのではなく、
毛並みを整えるように、指の腹でそっとなぞってくる。



「……ふわふわだね。きれいにしてるんだ、えらいねぇ」



声のトーンも、やや柔らかくなっていた。



「こういうとこ、ちゃんとしてるとこ……
ボク、そういうの好きだよ……」



ランダルの手が、今度は耳の後ろをくすぐるように撫でた。
その指先は、まるで子猫をあやすみたいだった。



「ほら、もっとこっち向いて」



指で顎を軽く持ち上げられる。

無理にではない。けれど、逃げられない距離だった。



「かわいい顔、ちゃんと見せて」



ランダルはじっと、の顔を見つめる。

目の奥が少しだけ和らいでいた。
それでもその中には、手放したくないという、熱がこもっていた。



「いいこ……ほんとに、いいこ……」



ふいに、額をこつんとくっつけてくる。

そのまま額同士をすり寄せるようにして、
ランダルは目を閉じた。



「……大丈夫だよ、。
ボクがそばにいるから……」



それは自分に言い聞かせているような声だった。

彼はただ、今ここにいる温もりを確かめたかったのかもしれない。



「きみがここにいるってだけでさ、
すごく、安心するんだよ……」



小さな声で繰り返すようにそう言いながら、
ランダルはを軽く抱きしめた。

きゅっと、小さな抱擁。
壊さないように、でも逃げられないように、そっと。



はその腕の中で、また何も言えなかった。

けれどその胸の鼓動が、少しだけ落ち着きを取り戻していることに気づく。



ランダルの、指先も、呼吸も、
さっきよりずっと静かになっていた。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp