第2章 まどろみのなかで
ランダルは私の額に触れたまま、指を滑らせるようにこめかみまでなぞって、すっと髪を耳にかけた。
「やっぱり、の肌って、すごくきれい。……ちょっと冷たいとこも、好き」
その言葉に、からかいの色はなかった。
本当にそう思っているらしく、表情はどこまでも無邪気だった。
けれど、無邪気はときに一番、残酷だ。
ランダルの影が、まだ私の影の上に重なったままだった。
「……もっとふれてもいい?」
返事を求めるような口ぶりで、でも最初から答えなんて聞いていない。
そのまま、指が私の頬をなぞる。
首筋をすべり、鎖骨の上にまで触れそうになったところで——
「やりすぎ」
低く、ぼそりとした声が割り込んだ。
セバスチャンだった。
ランダルの手がぴたりと止まる。
けれど、その顔には驚きも怒りもなく、ただ嬉しそうな笑みだけが浮かんでいた。
「セバスチャン、しゃべった~。やっと反応してくれたぁ」
その声が、本当に嬉しそうだったのが、余計に寒気を誘った。
私は、動かないまま、ただ息をひそめていた。
この遊びが、どこまで続くのかもわからないまま——。