第2章 まどろみのなかで
ランダルの視線が、ゆっくりと私へと移った。
ぴたりと止まったその目は、まださっきの熱を帯びていた。
「つぎは……、だよね」
にこりと笑うけれど、それは“順番”の話ではなかった。
「は、どういう反応するのかなぁ……気になるなぁ……」
足音を立てないように、すべるように近づいてくる。
部屋の照明がつくっていた私の影に、彼の足先が、そっと重なる。
「踏んじゃった」
囁くような声が、背中を這う。
私は動かない。できないのか、しないのか、自分でもわからなかった。
「の“好きなとこ”、ぼくが見つけるね」
その言葉に、意味なんてなかった。ただ、遊びの延長。
でもランダルにとってはそれがすべてで、十分だった。
指先が、私の前髪をそっとすくいあげる。
影を踏んだまま、まるで“これで合図は済んだ”とでも言うように、彼は堂々と私の額に指を添えた。
「ここ、すき。……ふふっ、やわらかい」
セバスチャンが、その様子を無言で見ていた。
けれどその目の奥に、一瞬だけわずかな違和感が揺れた気がして、私はそっと目を伏せた。