• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第10章 ゆめのせかい


ランダルは、私とセバスチャンのあいだにある席へすっと腰を下ろした。



そんな席、あっただろうか?と思ったけれど、
今となっては最初からそこにあったような気がしてくる。



机の角には、誰のものともつかない削れ跡があって、
そこにランダルが腕をのせると、教室の空気がさらに落ち着いていった。



「……今日、いい天気だね」



ぽつりとこぼされた言葉に、セバスチャンは無言で、手のひらに頬を乗せた。



誰もツッコまない。
この空気の中で、下手な言葉を出すのは、何かを壊す気がした。



ランダルは、シャープペンの芯をくるくる出したり引っ込めたりしながら、
私の方へ軽く体を傾ける。



「って、ちゃんとノート取るタイプ?」



そんなの、聞かれたことなかった。



夢の中なのに、私はふつうに首をすくめた。
よくわからないけど、なんとなく楽しくて、ちょっとだけくすぐったい。



「……ったく」



セバスチャンが小さくつぶやいた声は、机の中へ吸い込まれていった。
でもその声に、ほんの少しだけ──緊張がにじんでいた。



窓の外では、木の葉が揺れていた。
誰もいないはずの校庭で、誰かがボールを蹴っている音がした気がした。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp