• テキストサイズ

【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第9章 たべられたひ



受話器を戻したランダルは、
しばらくその場に立ち尽くしていた。



わかりやすく落ち込むわけでもなく、
でも、わずかに眉を下げて、口をへの字に曲げていた。



「……もうちょっとだけ、こうしてたかったのになぁ」



ぽつりとこぼれた声は、
自分に言い聞かせるようでもあり、私に聞かせるようでもあった。



それでも、私の姿を見つめる目は、
まだとろけるように潤んでいた。



「……はぁ、かわいいなぁ……、ほんと、ほんと……かわいい」



小さく溜め息をついたあと、
ランダルはそっと手を伸ばしてくる。



「いこっか。
……でも、ちゃんとボクのそばにいてね」



私は静かにその手を取る。



ランダルの手は、さっきよりも少しだけ力が入っていた。
名残惜しさが、指のあいだから伝わってくるようだった。



ふたり並んで歩き出す。



少し浮いたような足取りで、ランダルは扉の前に立ち、
私のために静かにそれを開ける。



外の空気が、ふわりと流れ込んできた。



私はそのまま、つながれた手に引かれて、
静かにその光の中へと、歩を進めた。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp