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【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第9章 たべられたひ


「……クシュン」



タオルの端に顔を埋めて、私は小さなくしゃみをひとつ。



その瞬間――



「はっ!!」



バッと勢いよくランダルが飛び出してきた。



「ダメダメダメ、が冷えちゃう!!もういいよニェン、ありがとねー!」



ばさっと私の肩にタオルをかけ直し、
そのまま私を抱えこむようにして、くるりと体ごと向きを変える。



「はいはい、どいてどいてーっ。ニェンはお役目終了、しっしっ!」



手をひらひらと振って、まるで犬でも追い払うようにバスルームの外へ促す。



ニェンは何も言わず、少し濡れたままのシャツの裾を引き下ろしながら
静かにバスルームをあとにした。



扉がカタン、と閉まる。



数歩、廊下を進んだところで――



「……ククッ」



喉の奥で、わずかに笑う。



勝ち誇ったようなでもなく、からかうでもない。
ただ、自分がちょっとだけ“出し抜いた”気がして、自然に漏れた笑いだった。



そのときだった。



「ニェン」



振り返るより先に、低く静かな声が響く。



そこには、ルーサーが立っていた。



長い脚でゆっくりと近づきながら、にこやかに――けれど目は静かに細めている。



「いい子だね。よくしてくれた。風邪をひかないように、着替えておいで」



言葉とともに、濡れた髪をすっとひとなで。
指の背が、軽く肩に触れた。



「……はい」



ニェンの返事は短く、顔もそっけなかったけれど、
どこか得意そうに、背筋を伸ばしてその場をあとにした。



歩く背中には、濡れたシャツすら誇らしげに見えるほどの満足感がにじんでいた。
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