第1章 プロローグ
「さて、では……大悪魔、さん?」
学園長らしい人が震える声で尋ねる。
『あー……そうだけど……そうだ、この世界の名前は?』
「…………は?」
世界の名前が分かれば帰る方法くらい見つかるかもしれない……なんたって、普段からいろんな世界線覗いてたからね。
『いいからいいから。そうだなぁ、じゃあこうしよう』
学園長に手を向ける。
『コマンド この世界の名前を教えよ』
「…………ツイステッドワンダーランド」
ツイス……あぁ、あそこか。よく覗いたところな気がする。
「ハッ、今のは一体……?」
『すまないね、教えてくれなさそうだったからちょっと無理矢理』
「どういうことです……?そんな魔法聞いたことは……それに、魔法石もなしでなんて……まさか……」
学園長はブツブツ呟いたあとに、食い気味に言った。
「あなたについて、詳しく教えていただけますか?」
『んー……そうだね、色々教えておこうか…。
言ったように、私は大悪魔。まあ、上位悪魔とでも思っておいてくれ。
まず悪魔とは、君たちの世界より一次元上に生活する者だ。我々の生活する場所からは数多くの世界に繋がれる。ここもその世界のうちの一つだ。よく覗いていたが……ここは見たことがなくてね……』
「悪魔……」
『そのとおり。我々の魔法は魔力を消費するが、魔力ある限りは無限に使える。私のようなものは魔力もほぼ無限に等しいから使用に制限はほとんどない。だけど……最上級魔法は使えない。それこそ、世界そのものへ干渉する魔法なんかは使えない……はず、なんだが
どういうことか、ここに来てしまってね……』
「世界そのものに干渉、とは?」
『私たちが世界に干渉するときに使用するのは、ミラーという魔術だ』
ミラーと呟いて指を振ると、正面に鏡が現れる。
『これを通じて、世界と繋ぐ。でも本来できるのはここまで……世界そのものを変えてしまうような干渉は我々にはできないはずなんだ。それこそ、世界に入り込んでしまったり、世界の法則を変えてしまったり……』
はあ、不覚……。
黙り込んだ学園長の方を向くと、俯いて何かを呟いていた。
「つまり、鏡を通じて……世界と繋がる……鏡越しに、会話も可能……?」
ん?そこまでは言ってないぞ?合ってるけど。
「あなた、シルヴァさんでしょう?」