第1章 プロローグ
side シルヴァ
うーん、まずいことになったな。
恐らく魔法が失敗したか何かだろう、気がついたら謎の儀式場みたいなところにいた。
まさかこの私が魔法を失敗するなんて……不覚。
けど今はそれどころじゃない。周りを見渡せば、全て自分に向けられる杖(多分)
まずったな……私にかかればこんな相手造作もないが、問題はそこじゃない。別に人を狩ること自体問題はないが、処理がめんどくさい。上への手続きほど面倒くさいものはない。挙句、狩った理由が愉悦ではなく保身だなんて……大悪魔の名が泣く。
うーん、ここはおとなしくしてみるか。もしかしたら私が魔法を失敗したのではない可能性も……
「なんとか、言ったらどうです?」
『あー…………これでいいかな?』
降参を示すため両手を上げる。人間たちの中ではこういうジェスチャーだったはずだ。
「……で、何者なんだい?」
さて……どうしたもんかね。どうやら簡単には帰してくれなさそうだ。
『そうさね……大悪魔、とでも言っておこうかな』
その場のほぼ全員が、まさか、というように目を見開く。
まあそりゃあ、君たち人間界じゃあ悪魔なんか空想上の生物だ。何言ってんだこいつは、とでも思ってるんだろう。
「……話は詳しく聞かせていただきます。とりあえず、今は解散!入学式は終わりです!さあ、寮生たちはそれぞれ寮長に付いて寮へ!」
「学園長、その人は……
ッ!!わかりました」
学園長?入学式?なんと、ここは学校だったか……なんの宗教団体かと思ったよ……だとすると悪魔召喚にたまたま呼ばれてしまったという説が否定されるじゃないか。困るな……
「では、問題のあなた方……そうですね、ユウさんと…あー、誰でしたか。あなたたちは少し待っていてください。」
学園長らしい人の視線の先を見やると、間抜けに口が開きっぱなしの人間の男と、その後ろで困惑と期待の混ざった表情をしている女がいた。