第5章 ご
何でもいいから、慰めてよ。
「…でも、見つけて欲しいって、その為に咲いてるって思いながら、焼け落ちたら灰になった彼に会える気もしたの。それならいいかってどこかで思ったら、いつのまにか鎮火してたわ。
咲けないのに、意思があることに驚いていたら、また優しいモノが来たのよ。嘘つきって、自分勝手に言ってしまったわ。そのモノは悪くなかったのに」
少しだけ、国広の肩が動いた。
相変わらず、顔は見えなかったけれど。
「3人で会いにくるって約束をくれた。その時、独りじゃなくなったって思った。
咲かなきゃいけないって思った。………ってところで、終わっちゃった。
気付いたら、大嫌いな人間になってた。だから、国広に何かあったらって言ったの。私も、人間になっちゃったから」
バフっと、国広の布が私を包んで。
伸びてきた腕に抱きよせられた。
こんなこと初めてて、身が固まる。
「国広?」
桜のような匂いがして、私は少し悔しくなったの。
国広にはとても言えないわ。
「後は?」
「後はないわ。面白くもない。よくある話」
「…」
「…後は、私が転生できたなら、もっと早く鶴丸国永もしてるかもしれないって、思って生きてた」
「会えたのか?」
「ううん。まだ、実物には」
「そうか」
「3人には会えたよ。私が桜の木を描いていたら、見つけてくれた」
「今でも交流はあるのか?」
「ううん。一度だけ。…私ね、小さい頃両親が亡くなってるの。嫌いな人間の中で、唯一マシだった2人。あまり記憶にないけど、育ててくれた。多分、愛してくれた。でもちゃんとわかる前に、置いてったからやっぱり人間は嫌。
私は霊力があって、多分前世の影響じゃないかって思ってる。それで、政府が運営する施設に連れてこられた。審神者になる為に。そこで知ったの。…鶴丸国永にはもう会えないってこと」
また国広が黙る。
でも、抱き寄せられているせいで、温もりを感じるから少しマシだった。
「折れたら、本霊に還るんでしょ。刀剣男士は。それに同位体が何振りもいる。
…だから、あの3人もきっと違う3人。両親の知り合いだった、私が知るのとは別の3人。現にもう二度と会いにきてくれなかった」
「…俺は。折れない」
「え?」
「だから、安心しろ」
「くにひろ」
「アンタを独りにしない。…」