第4章 よん
施設に入って数ヶ月が経った。
変わり映えがないから、これまでの日々は割愛ね。
機会があったら伝えるわ。
ねぇ、嬉しいことがあったの。
初めてよ。
貴方に会えたわ。
写真で。
今日、審神者らしい授業をしたの。
まずは審神者の意味と刀について教わった。
初めの5振りと三日月宗近。
私そこで初めてちゃんと納得したの。
貴方達が刀だったってことを。
だって、貴方は人の身を得ていたでしょう?
教科書には本体と一緒に人の身の姿も映っていてね、本丸にいるのが分霊ってことそこまで習ったわ。
教科書で言うと5ページほどかしら?
私は貴方のページを探したわ。
だってそうでしょう、三日月も居たんだから。
次に見つけたのは鶯よ。
その次に貴方。
ねぇ、撮られる時すこし格好つけたでしょう?
だって、すごくカッコよかったもの。
やっぱり美化されているのかしら。
思わず泣きそうになったのよ。
どれだけ嬉しかったか、焦がれていたか、貴方には多分計り知れないわ。
驚いたのは後みっつ。
あの3人がいたの。
ねぇ水心子、あの時の質問の答え今なら言えるわ。
私を運んでくれた人は、貴方の仲間よ。きっと、そうよ。
だって同じ本に乗ってるんだから。
私この写真だけでしばらくはやっていけるわ。
審神者の授業がない日もずっとその教科書だけは、ずっと鞄に入れてたまに会いたくなったらそのページを開くの。
周りの子達は私を遠巻きに見てたわ。
習ってないページを何度も開いて、心で話かけてるとはいえ、すこし異常だったのかもしれない。
それでも、拠り所だったの。
だけど、私すこし絶望したわ。
だって貴方、分霊ってやつでしょ。
分霊が最期どうなるか、習ったわ。
…私、直接見たわ。
舞い上がってたことが嘘みたいに、思えた。
貴方に輪廻なんてなかったのよね。
そんなことをいっても、私もそれを外れている存在だったのかもしれないけれど。
分霊は本霊に還るのね。
貴方は還っちゃったんでしょう?
その日からその本を持つのをやめたわ。
持ってても虚しいと、気づいたから。
この間会った3人も、初めて会った水心子もきっと別人ってことでしょう?
それってつまり、私の思い出にしかいないと言うことでしょ。