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cerisier 【刀剣乱舞】

第4章 よん


 これで本当に独りになった気がしたわ。

 両親が空に還った時、私は絶対忘れないって思ったわ。
 そしたら私の中で生き続けるでしょう?

 貴方のことも、思い続けるわ。

 …でも、じゃあ誰が私を覚えていてくれるんだろう?って考えた。

 そしたら怖くなった。

 誰にも覚えてもらえてない私は、生きていると言えるのかしら?なんて、柄にもなく後ろ向きなことを考える程よ。

 笑っちゃうわね、独りだと余計なことを考えてしまうわ。
 人の身を得て、色々なことを知るのは楽しいけれど、要らない知識まで付いちゃったの。

 …貴方に会いたいわ。

 貴方に、"俺が覚えてる"って言って貰えたら、私きっとすぐに納得できるの。

 私は生きてる。
 私は独りじゃない。
 私は可哀想じゃないって。

 そう実感できるの思うの。
 私いつのまにか泣き虫になっちゃったみたい。
 涙が止まらないわ。

 耐えられなくて、膝を抱いたの。
 私から溢れた涙は土を濡らしたわ。

 一生止まらない気がしたわ、大袈裟じゃなく。
 貴方が止めてくれなきゃ止まらないのよ。

 涙が枯れても、私は誰にもバレないように心で泣くの。

 そう、面白いことを習ったのよ。
 審神者の心次第で、本丸の天気が変わるらしいわ。
 私の本丸がいつか出来た時、天気はずっと雨ね。
 それもやっぱり、一生やまないと思うわ。

 貴方のせいよ。

 また私、不安になったわ。
 私が本丸を持った時、貴方の同位体を顕現させても、満足できないと思うの。
 物足りないって思っちゃうと思うの。

 だって貴方と別人なんだから。

 少し、時間遡行軍の気持ちが分かっちゃったわ。
 審神者失格かしら?

 貴方に会えないのなら、初めて会ったあの日に戻って貴方に見つからないようにしたいわ。

 そうすれば今の痛みは知らなくてよかったんだもの。

 独りを知らなければ、独りに気づかないでいられたのよ。

 恨み言ね、こんなのは。

 素直になるなら、貴方に会いたいって、ただそれだけなの。

 でもね。

 貴方のどうでもいい話も、どうせだったら聞きたいわ。
 一言一句、忘れないようにちゃんと聞くわ。

 もういない貴方を思うことは、まるで足枷をつけられたみたいに不自由ね。
 だって私、動ける自由を知ったのよ。
 貴方に触れられるかもしれない自由を。
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