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cerisier 【刀剣乱舞】

第4章 よん


 私が独りになって、数日が経ったわ。
 嫌な大人に連れてこられて、みんなが私向ける視線に含まれた意味を考えたら、面倒になったわ。
 考えなきゃいいじゃない?って、そうよ、出来たらそうしてるわ。

 考えていないと、暇に押し潰されそうなの。

 施設はとても窮屈ね。
 集団行動って言うらしいわ、私得意じゃない。

 だって、結局誰かのリズムに合わせなきゃいけなかったりするんだもの。
 私は"できるから"じゃ、ダメらしいわね。
 来て早々そう話をされたわ。

 人ってとっても不便。
 どうして私、これになりたかったと思ったのかしら?

 貴方に会えない今、その答えを見失ってしまいそう。

 退屈だわ。

 勉強は好き、知らないことを知れるのはとても良いことね。
 でも、誰かに教わるのは苦手。
 主観が強くなるでしょ、教えてくだる方の。

 貴方が"先生"をしてくれたらよかったのに、そしたらもっと楽しいと思えたかもしれない。

 なんて、最近もずっと貴方のことばかりよ。
 ずっと考えている。

 最近は、会えないせいで美化されているんじゃないかと、心配になってきたの。

 困るわ、それは。

 だってそうじゃなくても貴方は…って、やめておくわ。
 貴方に会えたら直接伝えるの。

 貴方はどんな表情するかしら?

 貴方はたまに冗談混じりに言っていたわね、赤く染まった方が鶴らしいって。
 思いで赤く染まる方が、鮮血よりも平和的で良いんじゃないかしら?

 そうは思わない?

 チャイムが鳴る。

 他の子達は早々に帰り支度を始めて、帰路についたようよ。
 私は、帰りたくないからわざと出来ないふりをして、時間が過ぎるのを待ったわ。

 集団生活って、恐ろしいのよ。
 トイレ以外1人になる時間がないんだもの。
 独りなのに、1人じゃないの。
 それって虚しいわ。
 でも、無理に2人や3人になりたいわけじゃないの。

 ねぇ、やっぱり貴方に会いたいわ。

 ずっと思い続けているのに、叶えてくださらない神様はとても意地悪だと思わない?

 貴方の笑顔が見たい。

 写真っていいわね、それがあれば貴方をいつでも鮮明に思い出せるのに。

 「お前達、早く帰れよ」

 担任と呼ばれる先生が、教室に残っていた私を含めた数名に声を掛けたの。

 探せばいるのね、私みたいな馴染めない子は。
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