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先生と僕

第3章 ■思春期の悩み


「すっかり汚れちゃいましたね」
油涌き谷で文字通り大立ち回りをした結果、二人と一匹で油泥まみれになってしまった。唯一無事だったアルマが苦笑してキャンプを広げた。幸い緋の森は豊穣期で湖は鏡のように透明な水をたたえている。周囲に大型のモンスターはいない。小型モンスターとて己の力量に見合わぬ獲物に挑むほど命知らずではない。こちらが刺激しなければ安全と言って差し支えないだろう。
「荷物は私が処理しますから」
頼む、とアルマに頷き同じく泥だらけのナタの腕を引く。
「水浴びしようナタ」
「はい……えっ!?」
水場に引き寄せて装備を脱ぎだしたハンターにナタは声をあげ硬直した。もちろんここは屋外なので肌着は残したままだが装備で隠れている女性らしいボディラインが露になり、慌てて視線を逸らす。
「せ、先生お先にどうぞ!」
必死に伝えればハンターは不思議そうにナタを見る。
「前は一緒に水浴びした」
それは事実だ。しかし以前はナタもまだ子どもで、今でもハンターからすれば子どもだろうが、少なくともハンターの意外と柔らかそうな膨らみに反応しないほど子どもでもなくなったのである。
「ハンターさん、ナタも男の子ですから」
アルマの助け船にハンターの目が鋭くなる。ああこれはモンスターを観察する時の目だとナタは理解した。討伐される恐れはないが、やましい気持ちも見透かされそうで居心地が悪い。
「そうか……自分が嫌になった」
「「嫌じゃなくて恥ずかしいんです!」」
思わず突っ込んだアルマとナタはハンターの情緒の方の成長のなさに頭を抱えた。
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