第24章 ■思春期の気づき
最近になって、先生が案外普通の人なんだとわかるようになった。
ハンターとしてはもちろん超一流で、未だに追い付けていないし、成長したと言われても先生から学ぶことはまだまだ多い。
ただ新種のモンスターに目を輝かせたり、美味しいお肉を笑顔で頬張ったり、子どもに話しかけられてあたふたしたり、遺跡を壊しそうになってアルマに怒られたり、僕が怪我をしたと聞いて青い顔でテントに飛び込んできたり。
完全無欠のハンターではなく、普通の女性なんだと気づいた時に何とも言えない気持ちになった。
全てを先生に任せていてはいけない。素材を集めたり、ハンターとして訓練したりはしているけれど、もっと先生を精神的に支えられるような人間になりたい。他の誰でもなく、僕がそうでありたい。
「別に恩返しとか考えなくてもいい」
先生の言葉はぶっきらぼうだけど僕の将来を心配してくれているのはよくわかっている。そういう自分をないがしろにするところは良くないと思う。
「僕がしたいからしているんです」
そう言うと反論できないのだろう。僕が頑固なのも先生はよく知っている。
「なら私もナタをたくさん甘やかしてもいい?」
「甘やかすんじゃなくて頼ってください」
拝命した、とは言うものの先は長そうだなと僕はこっそりため息をついた。