第14章 ■少年期の奔走
鳥の隊のハンターが熱を出して寝込んだ、という話は瞬く間に禁足地調査隊に広まった。禁足地調査隊には娯楽が少ないのだった。
「鳥の隊のハンターも体調崩すんだな」
「誰だよファビウス卿が用意した対モンスター用ヒト型兵器とか言ってた奴は」
「今なら勝てるんじゃないか?」
「ダメだダメだ。 星の隊がガードしてやがる」
アルマは冷水を運びながら「みなさん勝手です!」と怒ったがナタも正直先生も熱を出すんだなと思っていたので強く否定せず布を運んだ。
ハンターのテントから防塵マスクをしたエリックが出てくる。
「高熱とそれによる頭痛や関節痛に倦怠感。 混濁は見られるものの意識はあり。 嘔吐や下痢はないけど食欲もなし……普通の感染症に思えるけど僕たちには抗体がない可能性がある」
「抗体?」
「ジェマや僕が移ったらあっという間に広がるってこと。 逆に言うとナタは抗体がある可能性が高い」
「僕が看病をするべきってことだね」
頷いたエリックはとにかく水分を摂ることと体力勝負だと伝えてハンターのオトモと薬を作りに行った。呟いていた材料に一抹の不安が残るがまずは目の前のテントにいるハンターだ。
「ナタ、お願いできる?」
「任せて」
ハンターには色々なものを与えられた。今ナタがここにいられるのはハンターのお陰だ。それにナタも以前熱を出してハンターたちに迷惑をかけた。看病するなど当然の義務だと思える。