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先生と僕

第13章 ■少年期の評価


「ナタのことをどう思うか?」
与えられた命題に瞠目してハンターは顎に手をやり考える素振りを見せた。
深い意味もなく近況報告のつもりで問いかけたロッソとアレサは鳥の隊の不器用な性格、頭の固さを思い出したが既に遅い。
「どの立場から彼を考えるかによる。例えば調査隊としてなら彼は重要な情報源で道案内だ。彼の保全を最優先すべきだし、同時に彼の導きなしに任務達成は考えられない」
模範的な回答に反論する余地はない。あえて言うならつまらないだろうが、ハンターはまだ続けるつもりで一口だけアルコールを口にした。
「鳥の隊の一員で言えば非常に優秀な見習いだ。未だに文化の違い等の問題がないわけではないが、素直で意欲があり能動的で助けられている。むしろ自分が教える立場は初めてだから正しい師になれているか不安だ」
これには二人で苦笑して良い先生をしているから心配するなとフォローする。鳥の隊のハンターもまた素直で意欲があり能動的だ。そっくりな師弟と言える。あの鳥の隊のハンターに後進がいないのは残念なことだとハンターたちで話していたことが遠い過去のようだ。
何よりもナタ自身が彼女を先生と呼び慕っているのだ。代わりなどいるはずもない。
「で、個人的にはどうだ?」
「個人的に……」
またハンターは考える素振りをして「かわいい」と一言告げた。
「あのなあ……相手は子どもだが男だぞ」
「失礼ですよ」
二人の言うことは正論なのだが、どうしたって目に入れても痛くないくらい愛らしいのだ。最初の警戒していた時期も、少しずつ緊張がほぐれてきた時期も、復讐心から無茶をしていた時も、自分を先生と慕っている今も。
「大事にしたい……宝物だ」
恐らくそれが鳥の隊のハンターの精一杯の愛情表現なのだろう。
今日も酒の肴が美味いぜと二人はジョッキを煽った。
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