第10章 ■思春期の運命
アルマにもわからないことはファビウス卿に聞くのが一番だ。そしてこういう時に何故かファビウス卿は僕のところに来てくれる。未来が見えているのかもしれない。
僕があの言葉を口にすると驚いた表情をして、少し考えた。
「……それは直接言われたのかな?」
「いいえ、お酒の席の……寝言みたいな感じです」
「そうか、彼女もすっかり馴染んだようだな」
嬉しそうなので悪い言葉ではないんだろう。愛しい子とか宝物って言ってたし。
わかっていたつもりだけど、直接先生からそういう言葉をかけられるととても嬉しい。子ども扱いではあるけど、愛されてるって思える。
ファビウス卿は繰り返し頷いて僕の肩を優しく叩いた。
「それは君の期待する言葉に近いが、もっと運命的で、重い言葉だ。彼女から直接聞かされた時に受け止めるといい」
「今の僕では無理だということですか?」
「少なくとも彼女はそう思っている」
それは事実だ。先生は僕がそうだ、と言っていたけれど僕にそうであれとは言っていない。
「わかりました。僕、頑張ります!」
ただ先生についていくだけではない。先生が一羽で飛ぶ鳥にならないように。家で飾られて愛されてるだけの宝石にならないように。
ファビウス卿は応援すると言ってくれた。