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先生と僕

第8章 ■少年期の共寝


ナタのテントに入ると布団から陽光の残り香がした。無口なオトモはいつも通りしっかりと仕事をしたようだ。
ナタは既に眠っている。気配を隠すのは得意だし、ナタもここでは安心しているようだった。
第二クエストはこの深い眠りを続けさせること。まずは子守唄を、と口を開いて閉じた。
果たしてハンターの知る子守唄をナタは知っているのだろうか。守人は古き伝説を受け継いだ一族だ。子守唄も特別かもしれない。
タシンに確認すべきだった。調査不足だ。やはり編纂者には向かない、とハンターは強く反省した。
呼応するようにナタが呻く。悪夢を見ているのか、穏やかになったはずの顔立ちが歪むのを見てハンターはプランBに移行した。
布団の上からナタの身体を優しく、一定のリズムで、手全体を使って叩く。ぽん、ぽん、と鼓動よりは僅かに遅く。
効果はあったらしくナタの呼吸が落ち着いていく。ハンターはほっと息を吐くが問題は解決していない。
流石のハンターも一晩中歌ったりポンポンしたりすると翌日に響く。
どこかで撤退すべきか。しかし気持ち良さそうに眠るナタの寝顔を護りたい。きっとナタは人寂しいのだ。ぎゅうと布団の端を掴む様を眺める。
そうか、自分が抱き枕になればいいのだ。
既に簡易的な寝間着姿のハンターはナタを起こさないよう最新の注意を払って隣に潜り込んだ。次は位置だ。寝返りをうった時に頭突きをしてはいけない。一人用の簡易布団なのでナタがはみ出て寒くないようにしなくては。膝も当たらないように。
ハンターなりに最大限の気遣いをした結果、久しぶりの熟睡から目覚めたナタは己がハンターに抱かれ、その胸に顔を埋めていた事実に気付き絶叫するのだった。
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