第4章 当日
「それで、俺が出した結論なんですけど…俺、多分“luna”さんのことが好きなんだと思います。他の憧れてる先輩たちとは明らかに想いが違うというか」
『…それで、ゆうたは私に何を望む?』
「特に何も。こうして面と向かって気持ちを伝えられただけでも十分です」
『ふーん、それだけでいいって言われるとなんか複雑〜』
唐突に“luna”さんの口調が変わった。
驚きのあまり言葉を失っていると、こちらを見てまた楽しそうに笑っている。
『私、素は普通に話すよって言ったんだけど』
「それは確かに言われましたけど…ちょっと“luna”さんのイメージから懸け離れていて理解が追いつかないというか」
『まぁ“luna”は私の仮初の姿って言うか隠れ蓑?だからかけ離れてて当たり前。素に戻った私は“luna”じゃないから澪って呼んでよ♪』
「えっと、澪、さん?」
『なんか距離感あるね。同い年だからためでいいのに』
「同い年!?」
『わぁびっくり。ゆうたくんが声荒らげるの初めて聞いたかも』
もう色々理解が追いつかない!
澪さ…澪ちゃん、は俺と同い年で?
素に戻ると「ゆうたくん」って呼んでくるの?
タチの悪い夢を見てる気分…
『夢じゃなくて現実だよ』
「えっ俺口に出してました?」
『言葉には出てないけど顔には出てた。あ、告白の返事なんだけど』
「いっ、今!?ちょっと整理する時間が欲しいんですけど…」
『えー、ゆうたくんも知ってるでしょ、私が忙しいってこと。私、ゆうたくんたちと同じでね、二足のわらじ履いてるの。ダンサーとして色んなところ飛びまわりながら高校生もしてて、結構目が回るくらい忙しかったりするんだけど。返事後回しにしていい?』
「すみません、今お願いします」
『はーい☆ …返事としてはもちろんOKなんだけど、少し時間をくれないかな。これから当分、世界各地を回らないと行けなくて…たまに戻ってくるけど学校行かなきゃ行けないし。だからさ、ゆうたくん。私と約束してよ』
「…何を?」
『ゆうたくんが私に対してタメ口を使えるようになって、澪って呼べるようになったら、私を迎えに来てよ。私それまで頑張るからさ、ね?お願い』