第4章 当日
そこでしばらく待っていると、ほかの搭乗客とともに澪ちゃんが出てきた。
向こうもこちらに気づいたらしく小走りでこちらによって来る。
『ゆうたくん!』
「澪ちゃんおかえり!」
『ただいまっ!なんか全然久しぶりな感じしないね~』
「毎日話してたからね。ツアーの様子とかこっちでも放送されてたよ。やっぱりまだ追いつけそうにないや」
『ふふっ、そんな簡単に追いつけるわけないでしょ、私だって成長してるもん♪』
「確かに。…ねぇ、この後時間ある?」
『?うん、特に何もないよ』
「じゃあちょっと一緒に来てくれない?」
手を差し出すと、不思議そうな顔をしながらも手を取ってくれた。
澪ちゃんも後ろに立っていた"luna"さんのマネージャーさん、基澪ちゃんのお母さんに頭を下げると
会釈を返した後に手を振って、俺たちを見送ってくれた。
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向かう場所はもちろん、想いを伝えたあのカフェだ。
今日ばかりは俺がエスコートをする。
席に案内されるとメニューを澪ちゃん向きに渡し、「今日は俺のおごりだよ」と言う。
澪ちゃんは目を見開いた後に笑った。
『なんか懐かしいね、それ』
「いつもエスコートされる側だったから、今日くらいはいいじゃん♪」
『"luna"の時は性別不明だからついエスコートしちゃって、されることほとんどないから新鮮で面白い(笑)』
「こういう悪戯も悪くないでしょ☆…ところで澪ちゃん、あの約束覚えてる?」
『忘れるなって言った身で忘れるわけないじゃん』
「よかった。じゃあ改めて…澪ちゃんとずうっと一緒にいたいから、俺と付き合ってくれる?」
『こんな私でもよければ、喜んで!』