第3章 レッスン
〚止めなくていいぞ、ゆうた。待たせた詫びと説明を兼ねて教えよう。実は今シンガポールにいるんだが、そこでダンスショーをやらせてもらうんだ。それは別に構わんのだが、バックについてくれるという子達が私のダンスについていけないとかでボイコットしてるそうなんだよ〛
「それは…なんというかすごくもったいないような気がしますけど…」
「ほんと、前座に選ばれるだけでも万々歳なのにね」
〚はは、お前たちは私を高く買いすぎだよ。元々その子達を集めたのは先方だからボイコットされても演出上特に問題は無い。しかし何故かその子達のご両親たちからヘイトを向けられていてね。大事になる前にカタをつけた…と、まぁそんなとこさ。さて二人とも。踊れない理由の分析は終わったか?〛
「はい!」
〚よし。踊れない理由がわかって踊れるようにはなったか?〛
「う〜ん」
〚ふむ、息のあったシンクロというのは伊達じゃ無さそうだ。では解析結果を教えてくれ、そこから私がアドバイスをしよう〛
「俺、"luna"さんの振り付けで踊ったことがなくて、基本的にゆうたくんに教えてもらってたんだけど…」
「俺も知らない振り付けがあって、動画だけじゃそこをカバーしきれなかったんです」
〚あぁ、あそこか。あれは"2wink"専用の振り付けだからな、私も初めて作ったよ。そこの練習方法は…〛
そこから"luna"さんは練習の仕方から足の運び方、体の向きなど細かいところまで徹底的に教えてくれた。
言われたとおりにするだけでもかなり踊りやすくなって、俺もひなたくんも楽しんでレッスンを続けられる。
"luna"さんは、忙しいといいつつも熱が入った俺たちの練習に最後まで付き合ってくれた。
〚…まぁ最初に比べればかなり良くなったな。それでも及第点といったところか〛
「うっ…"luna"さんって優しいけど厳しい…」
「でも妥当な評価だと俺は思うよ。アニキだってそう思うでしょ?」
「うん。大丈夫って自信を持って言えるレベルにはまだなれてないからね」
〚素晴らしい向上心だ。あとはお前たちの力だけでどうにかできるだろう。ところで新曲イベントの日程はもう決まっているのか?〛
「はい、二人の希望で招待させていただくつもりです」
〚おぉそれは有難い。是非お邪魔しようではないか〛