第3章 レッスン
「それにしてもゆうたくん動けるようになるの早くない?俺まだ全然動けないんだけど」
「まぁ、動画にある振り付け多かったし。いつもそれ見て練習してたから」
『ふむ、特に疑ってたわけじゃないが本当にファンなんだな。一見難易度が高く見える振りでも、動画で解説してあるからそれを繰り返し見れば自然と踊れるようになるさ』
「順にステップを踏めば本当に早くダンスのクオリティ上げられるんだ♪」
『この踊りの中でどうしても踊れない振付があればそれも動画にしよう。だから遠慮なく言うといい』
振り付けも作って動画にもしてってそんな簡単にできることじゃないと思うんだけどな…
ていうか"luna"さん忙しいはずなのにほんとすごいな…
なんやかんや言いながらもレッスンが終わるころには
俺もひなたくんもとりあえずは踊れるようになっていた。
その様子を見て"プロデューサー"さんと"luna"さんのマネージャーさんは驚いていた。
マネージャーさん曰く"luna"さんの振り付けを一日でここまで踊れるようになるのは
珍しいどころか見たことがないと言っていた。
それを聞いて"プロデューサー"さんはもっと驚いていたけど
俺たちは二人でガッツポーズをして喜んだ。
『今日はもう終わりでいいだろう。二人ともお疲れ様、ゆっくり休め』
「"luna"さん今日はありがとうございました。やっぱり俺、"luna"さんのダンス大好きです」
『それはよかった。次にここへ来れるのはいつになるかわからん、それまでに大体は動けるようにはなっておくように』
「はーい」「はい!」
『いい返事だ。ではな』
踵を返して去っていく姿を二人で眺める。
"プロデューサー"さんも見送りに行ってしまったので
取り残された俺たちはどちらからともなくレッスン室に戻る。
「ゆうたくん、今日はもうゆっくり休めって言われてたじゃん」
「アニキこそもう動けない~って顔してたじゃん」
「動けなくてもできる自主練はあるからね~♪」
「とか言ってアニキもちゃんと踊るんでしょ」
「やっぱりゆうたくんも自主練するんだ」
「そりゃあね♪」
結局この日は動画を見つつ一通り踊れるようになるまで何回も繰り返した。