第3章 レッスン
それから数日後、新曲のレッスン前に"プロデューサー"さんが休みをくれて、
少し買い物をしようとショッピングモールをひなたくんと歩いていると
"プロデューサー"さんから今すぐ戻るよう連絡を受け、不思議に思いながらもレッスン室へ向かう。
「あ、二人とも呼び戻しちゃってごめんね」
「"プロデューサー"からの呼び出しならいつでも駆けつけるよ!」
「それで、どうしたんですか?」
「それが、振付が思っていたよりも早くできて今日ならレッスン付けられるっていうから戻ってきてもらったの」
それって、つまり、今日"luna"さんがレッスンしてくれるってこと…?
『久しぶりだな、ゆうた。兄のほうも呼び戻して悪かった。やはりここの"プロデューサー"は優秀だな』
「え、ゆうたくん知り合いなの?」
「あー、うん。前にちょっとテレビ局で」
『おや、私と会ったことは誰にも話さなかったのかい?まぁいい、残念ながら私は忙しくて時間は無駄にできない。早速始めてもよいか?』
「よろしくお願いします!」
まずは"luna"さんに踊ってもらう。
俺らは二人いるのでそれぞれ踊ってもらって、最後に用意してあった動画を見た。
「えっと…これ、あとどのくらいで覚えるやつだっけ…?」
「演出で微調整も入ることを考えると…あと一か月無いくらいかな」
「…ゆうたくん、俺これ諦めてもいいかな」
『おや、やってもいないのに音を上げるのかい?君たちが指定してきたダンスに合わせるとこうなるのは当然かと思うが』
「ひなたくん、とりあえずレッスン受けてみようよ。"luna"さんのレッスンはわかりやすいからさ。ちゃんと俺ららしい振り付けも多いし」
『ふふ、ゆうたは前向きでいいな。この曲にはこの振付が一番合うと思うが、どうしてもというなら後からいくらでも変えられる。挑戦だけでもしてくれんか』
「せっかくの機会だもん、やってはみますけど…」
『それでいい。さて、とりあえず軽く動いてみようか』
教えてもらいながら動いてみてAメロの振り入れをする。
数十分振り入れに時間を割いてもらって、
ひなたくんも何とか形にはなるようになった。
「教えてもらうと意外と早く覚えられそうかも」
「だからわかりやすいって言ったじゃん」