第1章 接待旅行(1日目)
「おいしいですね」
料理に集中するとは言ったが、流石に黙って食べ続けるわけにはいかないので世間話はしようとする。
木茂山「そうだねぇ。上品な味だ。ちゃんは彼氏とかとこういう旅館に来るの?」
いきなりプライベートな質問を投げかける木茂山社長に若干引くも、
「こういうところには来たこと無いですよ」
木茂山「へぇ。じゃあちゃん彼氏いるんだ」
「昔の話ですよ。今はいないです」
木茂山「じゃあ募集中なわけだ」
何を話しているのだとハッとした。初対面の相手に彼氏の有無など。
まぁ、社長は少し年齢が高めだからそういう話が好きなのかと思い少し返事をして話を変えることにした。
「社長は今のお仕事長いんですか?」
木茂山「そうだね」
昔から今の会社を支えており、数年前から社長に就任していると教えてもらった。会社のことをよく知っているからウチの社長も頼るのだろう。
「ふぅー、お腹いっぱいですね」
木茂山「良かった良かった。でも僕はまだ満足してないんだ」
「ふふ、木茂山社長はたくさん食べる方なんですね」
木茂山「そうだね。たくさん食べてきたし、今もまだ食べたいね」
ガシッと肩を掴まれ、顔を近づけられた。
お世辞にもイケメン、ハンサムとは言えない顔が近づいてきており目を背け、腕で社長の身体を押す。
「ちょ、近いです・・・」
木茂山「デザート、ココにありそうなんだけどなぁ」
浴衣の合わせ目をゆっくり広げられる。
これはマズイやつだ。
「いやっ、やめてくださいっ!」
グイッと社長の腕を掴んで訴える。大きな声を出せばきっと周りの客や旅館の従業員が気づいてくれるだろう。
木茂山「ぐふふっ、良いじゃない。今彼氏いなくて欲求不満でしょ?」
「そんなことないです!ウチの社長に言いますよ!」
木茂山「そんなこと言っていいの?っていうか、なーんにも知らないんだねぇ、可哀想に」
ニヤニヤしながら肩を撫でる木茂山社長に鳥肌が立つ。