第1章 接待旅行(1日目)
「じゃあ、木茂山社長、先にお風呂入ってください」
木茂山「良いの?」
「ええ。私は下っ端も下っ端ですから、社長が先に入らないとですよ」
木茂山社長は了承してお風呂へ向かった。
一緒にとか言われたらどうしようかと思ったが、流石にそんなことはしないようだ。
15分ほどしてトントン、と部屋の扉が叩かれる。
返事をして扉を開けると女将が入ってきた。
どうやらもうすぐ夕飯の支度をするらしい。
部屋に食事を持ってくるからテーブルの上などを片付けに来たようだ。
「露天風呂凄いですね」
女将「ありがとうございます。ゆっくりお楽しみください」
いくつか会話をすると女将は料理を持ってくると言って部屋を出ていった。
それと同時に木茂山社長も浴衣を着て出てきた。
木茂山「いい湯だったよ。次はちゃんもどうぞ」
いつの間にか名前呼びになっているが、気にしないことにしよう。
簡単にシャワーを浴びて浴衣を着て戻った。
なるべく社長と離れたいが、一人にしたらしたで何をしているかわからない部分もあって心配だ。
木茂山「なんだ、ゆっくりしてきて良かったのに」
「えーっと、ご飯が待ち遠しくて」
適当な言い訳をして場を濁しておいた。
「可愛いなぁ」と言われ鳥肌が立ったが笑顔で乗り切った。
ふとテーブルの方を見ると、すでに料理が運ばれてきていた。結構豪華だ。会費制ではなかったため、予算はわからないが、きっとお高い旅館なのだろう。
「わあ、すごいですね」
木茂山「じゃあほら、座って座って」
なぜか席は隣同士だった。身体も木茂山社長が大きいせいで肩が当たるほどの距離だ。
「えっと、木茂山社長?ちょっと近くないですか?」
木茂山「そお?このくらい普通だよ」
そう言われるともう何も言えない。料理に集中すればきっと距離など気にならなくなると思い、食べることに集中することにした。