第1章 接待旅行(1日目)
木茂山「じゃあまずは旅館に荷物を置きに行こうか」
「はい・・・」
ガシッと木茂山に肩を抱かれ、旅館に向かうことになった。汗ばんだワイシャツが密着し、鳥肌が立つが会社のため、と我慢した。
旅館に着くと部屋に通された。
なんと同室。
「え、ちょっと、流石にこれは・・・」
木茂山「あれ?手違いかな?確認してみるよ」
そう言うと木茂山社長は旅館の女将に話をしに行った。
流石に初対面の男性と同室は無理だ。
木茂山「ごめん、もう部屋無いって」
「え、みんながキャンセルした部屋とか・・・」
女将「申し訳ありません、どの部屋ももう埋まってしまいまして・・・」
とても人気の旅館だったのだろう。部屋が無いものは仕方がない。できるだけ干渉せずに耐えるしかないと思った。
「じゃあ、外に行きましょう」
部屋に荷物を置いたら、なるべく2人だけの密室の時間を無くそうと観光に行きたいと申し出た。
木茂山「グフフっ、急に積極的だねぇ。そうだね、観光に行こうか」
2人で客室を出る。その時に木茂山社長と女将が目を合わせていたことに気づかずに。
観光はなかなか楽しめた。木茂山社長の存在を頭から消して1人旅のような気持ちにしていたのだ。
話しかけられたときにはしっかり応答したから大丈夫であろう。
数時間観光して旅館に戻ると、部屋にはすでに布団が敷かれていた。ピッタリくっつけて。
「いやいやいやいや」
苦笑いをしながら真っ先に布団を引き剥がしに向かった。
木茂山「グフ、隣でも良かったのにー」
「いや、流石に無理ですってー」
木茂山社長は機嫌が良かったのか、布団のことはそれ以上何も言わずお風呂の準備をすると言っていた。
木茂山「客室に露天風呂も付いてるからね」
「え、そうなんですか?」
木茂山社長に連れられ、客室のとある扉を開けるとそこにはガラスで囲まれているが、外の絶景を見ながら入れるお風呂があった。しかも広い。