第1章 接待旅行(1日目)
「え!?みんな体調不良ですか!?」
新幹線のホームで叫ぶ。私はこれから取引先の会社の社員たちと合同の2泊3日の慰安旅行に行くところだった。自社のメンバーも5人ほどいたが、みんな体調不良になり行けなくなったという話だった。
社長「大事な取引先との旅行だったのに、すまんな。だが、面子があるから旅行自体無しにするわけにもいかない。お前1人で行ってほしい。
くれぐれも相手の会社に迷惑をかけることが無いようにな!特に社長の言うことは絶対だ!気を悪くさせたらウチの会社が無くなると思え」
「え、えー・・・」
マシンガントークで話す自社の社長。こちらの会社の方が弱小のため、本当に潰れてしまうのだろう。仕事は大変だが居心地は良く、やりがいも感じられたため、潰れるのは勘弁してほしい。
社長「頼む!ボーナス弾むから!」
「もー、わかりました。社長たちは早く元気になってくださいね!」
社長「じゃあ、よろしく!重ねて言うけど、相手の社長の言うことは絶対だ、それは守ること!」
そう言うとすぐに通話を切る社長。体調不良だとは思えないほどだったが、きっとトイレに行きたくて急いでいたのだろうと納得した。
新幹線に一人で乗り、目的地に着いた。
まずは相手の会社のメンバーと合流し、旅館に荷物を置いた後観光する予定だった。
しかし、目的地に着くと
木茂山「やぁ、〇〇商事のちゃんだね。話は聞いてるよ。みんな体調不良になっちゃったんだってぇ?実はうちもなんだよ」
取引先の木茂山社長が1人で待っていた。
「え、大丈夫ですか?・・・もう今回は旅行はやめにして、今度ゆっくりみんなで楽しみませんか?」
木茂山「俺は2人でも良いし。このまま続けようよ」
「2人で、ですか?」
木茂山社長の姿をそっと見る。
でっぷりと出たお腹、顔も脂ぎっておりいかにもキモデブという感じだ。
そんな人と2人きりなどあり得ない。
「ほら、そちらの社員さんにも悪いですし」
木茂山「良いの良いの。それとも、俺との旅行が嫌か?」
社長に、木茂山社長の機嫌を損ねるなと言われていたのを思い出した。
「い、いえ、そういうわけでは・・・」