第19章 ビッグサプライズ
そうしても滞りなく済めば珍しく悟浄も一緒に宿屋に戻ってくる。
「悟浄、珍しいな…」
「んぁ?何がだ?」
「この二日間ふっつーに宿に戻ってくんじゃん?」
「まぁ、俺だってそういう日もあんよ、ばーっか」
「バカっていうなよ!」
そんな事を話しながらもそれぞれ部屋に戻っていった。部屋に戻れば理世は悟浄に先にお風呂どうぞ、と伝え、珍しくもそれに悟浄は答えた。
「はぁ…本当に…喜んでくれるかな…」
そう呟きながらも理世は引き出しの中から買ってきた袋を取り出した。再度袋から取り出してみてみるものの、緊張しか生み出されないそれにドクドクと悟浄の後から見える反応が気になる他なかった。
「…お待たせ。」
それから時期に悟浄も浴室から出てくるとそそくさと理世も浴室に向かっていく。
「…あーぁあ、何してくれんだろうね」
そんなため息交じりに悟浄もベッドに座り、煙草に火を点けた。ふぅ…と吹き上げれば月に視線を投げかける。
「なぁ、お月さんよ?あの子は何考えてるんだろうなぁ」
その呟きは他の誰にも聞かれることはなかった。
***
それから十分、十五分と経った頃、ガチャ…と浴室の戸が開いた。
「…出てきた、か」
そしてそれから少しすればドライヤーの音が聞こえる。五分ほどした頃、カチッと音が止むもののなかなか戻ってこない理世。
「…?どうかしたのか?」
少し不思議に思った悟浄は脱衣所へと歩き出す。
「…大丈夫か?のぼせた、…かって…」
「ごめ…ッ…やっぱ短いかなって…おもって…出れなくて…」
「…・・ッッ」
「やっぱおかしい…かな…」
言葉をなくしている悟浄に恥ずかしさと後悔が混じった理世は『着替えるから…』と呟いた。