第47章 帰ってきた場所
「そりゃ…そうかもしれねぇけど…」
「むらむらしちゃったわけだ…」
「なんでそうなんだって!」
「うるせぇなぁ。道端でけんかしてんじゃねぇって…」
そう沙烙の声がして二人はビクッと解りやすく肩を震わせていた。
「…てか、そうならない様にって昨日一足先に降りて来たんじゃねぇの?」
「…そうなんだけど、よ」
「沙烙?どういうこと?」
「クス…そいつに聞けば?」
フッと笑って離れていく沙烙。むぅっとしながらも理世は下から悟浄の事を見上げていた。
「…その、確かにしたのは事実だけど…」
「ほら。」
「でも…本意じゃなかったんだって!」
「逃げるすべはあったでしょ?前触れとか」
「…あったかも知れなかったけど…」
頬をかりっと掻いている悟浄に小さくため息を吐いて理世はパチンっと軽くデコピンをした。
「…って」
「私が怒ってる理由は何でしょうか」
「…キスしたから、だろ?」
「ぶぶー!!!」
「……は?」
「解るまで悟浄はおさわり禁止」
そう言い放って恐らく三人のいるであろう食堂に向かっていく理世。そのあとを追うかのように悟浄もまた急いで足早に近づいていく。
「…待てって!なんだってんだよ」
「…だって解らないんだったら罰ゲーム的な?」
「はぁ?!」
「しーらない」
中に入れば店主も笑顔で迎え入れてくれ、三蔵達のテーブルに腰を下ろした。
「…終わったのか?」
「終わったも何も、悟浄全く私の気持ち解ってくれない!」
「まてってば!」
肩に触れる手を優しくほどけばにこりと笑って理世は伝えた。