第18章 初めての買い物
そう言い終わるが早いか理世の髪をひと救いした悟浄は軽く唇を寄せた。
「…俺的には理世の黒髪のがきれいだぜ?」
「……そんな事…言っても、何も出ないよ?」
「出るだろうがよ」
「何が?」
「今夜、何かあるんだろ?俺に」
「それとこれとは…話が違う…」
「そう?」
くすりと笑えば嬉しそうに悟浄は抱きしめた。
「…なんつぅか…こういうのも悪くねぇなって最近思うんよ」
「こういうのって?」
「んー?抱いたりどうのってのも悪くねぇんだけど、こうしてただ抱き合ってるっての…」
「セフレから抱き枕に昇格ですか?」
「なんだ、それ」
「んー?」
「抱き枕のが上なワケ?」
「なんとなく?」
「なるほど?」
「…でも…」
「何」
そっと体を押し戻せば理世は額を合わせて話し出す。
「…抱き枕だとこうしてキスできない…」
「そりゃそーだ」
「私、悟浄のキス好きだから…それは嫌かも…」
「キスだけ?」
「……さぁ、どうでしょうか」
「…・・・じらすねぇ」
少しの間を開けて悟浄はゆっくりと下から唇を重ねた。右手は後ろ首へ、そして左腕は腰を離さぬように抱きしめている。
「煙草の味…」
「わり、さっき吸ってたわ」
「でも、ハイライトにもだいぶ慣れたよ…」
「吸う?」
「それはいや」
「……そう?」
「絶対やだ」
「そこまでいう?」
「悟浄のキスだけで十分吸ってる気になる…」
「でも、俺のキス、好きだよな?」
「…ん、好き…」
舌先をつつきながらも囁くようにして交わされる言葉たち。理世の好きを最後に深く絡めとる様に悟浄はグッと引き寄せた。理世もまた、誘われるままに腕を首に巻き付き、離れないように深く口づけるのだった。