第2章 離れて解ること

「俺、トイレ！」
「大声で言うな、恥ずかしい」
「行ってらっしゃい」
「ん！」

そうして悟空は席を立つ。その間にも悟浄はウェイトレスに目を奪われている。

「かっわいいなぁ、ここの子たちマジでかわいい」
「ｯﾁ…」
「三蔵が怒り出す前にやめておいたほうがいいですよ？悟浄」
「…チェリーちゃんに言われたかね『ガウンッ！』って…店ん中でぶっ放すな！」
「……貴様がおかしなことを言わなければいいだけだろうが…」
「だぁからって図星付かれて銃ぶっ放すてめぇもてめぇだろうがよ！」
「…」

ジャカ…っと銃口が悟浄の額にぴたりと止まる。そんな時だ。悟空が戻ってくる。

「あれ、八戒…また悟浄変なこと言ったの？」
「まぁ、なんていいますか…」
「一遍死んで来い」
「死んだら終わりだろうがよ！」
「飯まだかなぁ…」
「もう少しできますよ、きっと」

そんな一見ちぐはぐとした会話の中で理世はぽつんとしながらも気づくとふふっと笑っていた。

「…理世？」
「どうかしましたか？」
「ううん…こういうの久しぶりな気がして」
「お前…マジで大丈夫か？」
「そうですねぇ…少し心配です」
「へ？」
「いつもの事だろ、こういうのって」
「…そっか…」

社畜で仕事のこと以外はなるべくかかわらないように…そして仕事が一番！そう思っていた理世にとってこういったにぎやかな空間は少し嬉しくも感じていた。

「理世？」
「ううん、なんでもない」
「…そうですか？何かあったなら話してくださいね？」
「うん」

そう八戒の質問に答えている理世だったものの、ふと仕事に追われていた時間を思い出した。