第14章 触れない距離
コンコン…・・ドンドンドン!!
「はいはい、うるせぇよ、猿」
あたかも扉の向こうにいるのが誰かわかっているかのような口ぶりの悟浄はゆっくりと扉を開けた。その瞬間に悟空が飛び込んでくる。
「…!おい、あぶねぇな…」
「悟浄邪魔!」
「悟空…おいって…」
「まぁまぁ、悟空も彼なりに心配していたんですよ」
そう話しながら悟浄の前に立つのは八戒と少し後ろに三蔵がいた。
「…たく、うるせぇな」
「だって!なんで俺だけ知らされてねぇの?!」
「別に黙っていたわけじゃないんですよ」
「…それもそうだな…」
「で!理世!!飯食える?!」
「唐突過ぎますよ、悟空。」
見ている間に四人が集まり、理世の部屋の中に集まった。
「…体調はどうですか?理世」
「あ、ん。昨日よりだいぶ楽になって…八戒、ありがとう」
「いえいえ、僕はただ…僕の力を有効活用しただけですよ」
「…三蔵?」
「・・なんだ」
「三蔵も、ありがとう…!」
「なんの話だ」
「お薬…もらってきてくれて…」
「フン…てめぇは余計な事言うな、」
「本当の事なんだから仕方ねぇだろ」
「…ほら見ろ!!」
「はい?」
理世以外の声が一斉に重なった。
「…どうかした?悟空」
「俺だけ知らなかったから何にも出来てないじゃないかよ…どうせ俺はガキだし…」
「…悟空…」
そう呟くと理世はきゅっと手を握った。
「…理世?」
「大丈夫。そんな顔させてごめんね?すごく心配してくれたんだよね…」
「あぁ。でも、昨日持ち帰りにしてくれたものももう食えねぇし…」
「へ?」
「夕飯で!うまかったんだ…だからそれ理世にも食わせたくて…でも…そんなの知らなかったから…」
「ありがとう。それなら…三蔵?!」
「…今度はなんだ」
「昨日お夕飯食べに行った所、ごはんに行こうよ。」
「ぁあ?」
「そこで悟空に教えてもらいたいな。なんかあんまり食べてないからおなかすいてきちゃった!教えてくれる?」
「…ッッ…!!おっけ!そうと決まれば早く行こうぜ!」
そうして一気に悟空の顔も明るくなった。