第12章 愛撫の代償
「隣の部屋のだ」
「…って、理世の?どうやって中に入った」
「開けてもらう以外にねぇだろ。頭までカスになったか」
「…ひでぇ言い草だな」
「…ハァ…」
「で、三蔵サマがなんでそれ持ってんの?」
「…熱出してる。」
「・・・は?」
「二度は言わねぇよ。」
「て、おい!熱って…」
「理世に決まってんだろうが。どうせ大方貴様が無理でもさせたんだろう?しっかり面倒見やがれ」
「…って言われても…」
「文句あんのか?守るだなんだは口先だけか、貴様は」
「じゃなくて!俺は八戒みたいな治癒とかも出来ねぇし…」
「薬ならもらった。おいてある。」
「……なら、俺じゃなくても…」
「しつこい。俺には関係ねぇことだっつっただろうが」
「…三蔵…」
「早くいけ。俺も部屋に戻る。」
そういわれて悟浄は鍵を受け取れば出ようとする。
「…おい」
「なんだよ」
「てめぇの鍵も持って行かねぇとインロックになるからな?」
「…ーーーッッッ!」
ばたばたと中に戻り鍵を取ればさっさと出ていった三蔵を追いかけるような形で悟浄もまた部屋を後にする。
「…たく、これで嘘だったらどうすんだって…」
三蔵の言い分ですら半信半疑のままに悟浄は部屋の入り口に鍵を差し込んで回す。
「…理世?」
しかし返事はなく、奥へと入っていた。そこにはベッドに横になり顔は赤く、また三蔵が乗せたのだろうか、額にタオルがおかれている。
「…ハァ…マジか…」
体調が悪いなんて気づかなかった。それなのに、三蔵は気づいた事に悟浄は少しむず痒い感覚にも似た気持ちが心を埋め尽くしていくのに気づいた。