第12章 愛撫の代償
昼食に向かい、五人が集まった。注文も終わり、珍しいドリンクバーに三人が向かって三蔵と悟浄がテーブルに残った時だ。
「たく、少しは考えろ」
「あー?何が?」
「何が、じゃねぇだろうが」
「……もしかして、理世の事か?」
「それ以外に今、貴様に物申すことが他にあるか」
「これはこれは、三蔵サマがお優しいことで」
「冗談言ってんじゃねぇ。」
「で、何が?」
「せめて食事位は摂らせろと言ってんだ」
「あー、それか。わりぃ」
「フン…」
「あ、それだけ?」
「それ以外に何がある」
「…・・いや、セフレがどうとか、そっちの事かなと」
「俺には関係ない」
「…それもそうだな」
「……」
「だとしたら理世の食事も、じゃねぇ?」
「それは別問題だろうが。」
「なぁんでよ」
「食事と情事を一緒にするな」
「……へーい」
そうして話していれば三人も戻ってくる。
「…あれ、何か楽しそう。」
「本当ですねぇ」
「はい、三蔵、ジンジャエール」
「あぁ。」
「悟浄はビールなんだな」
「おぅよ」
「…フフ…」
煙草を吸うためライターを探す三蔵の隙にすっと理世は三蔵の前に一つグラスを追加した。
「…ぁあ?なんだこれ」
「コーヒーだよ?」
「…の割には、泡立ってねぇ?」
「あー、それは…」
「クスクス…三蔵びっくりするぜ?」
「…何しやがった」
「別に?おいしそうじゃない?」
「ならお前が飲んでみろ」
「私は遠慮する」
「んぁ?」
「いいから、飲んでみろよ!三蔵!」
そう悟空に促されて三蔵は一口運ぶ。しかし、怒りもせずに飲み切っていく。
「…悪くはない」
「…へ?」
「あー、やっぱ?」
「だから言ったじゃないですか、理世。三蔵は味覚音痴だと」
「だからってひどすぎない?」
「ちょいちょい、何したんだ?」
「三蔵迷ってたっぽいから…コーヒーとジンジャエール半分ずつ入れたの…」
「うぇ」
「…つまんない…」
「詰まる詰まらねぇの問題じゃねぇだろうよ」
そうして満足そうに三蔵もジンジャエールに少し口をつけるのだった。