第12章 愛撫の代償

そして気付けば昼近くになっていた。

「あーあ、完全にお昼ご飯の時間じゃん」
「腹減った？」
「んーん。不思議とそんなに空いてない」
「だろうな」
「へ？」
「満たされてっからだろ」
「……そっかな…」
「俺の愛で」
「愛してないくせに」

ふいっと悟浄に背中を向ける理世。しかし、悟浄はそんな相手の背中から抱きしめて背中に唇を寄せる。

「…言っとくけど」
「何？…ﾝ…」
「これだけ長いコト抱き合ってんのは俺史上初位だぜ？」
「…うっそだぁ」
「嘘じゃねぇんだけどなぁ…」

そう呟きながら背中で遊んでいる悟浄。ふと理世が視線を下げれば自身の鎖骨にくっきりと痕が付いていることに気づいた。

「…ねぇ、悟浄…」
「んー？何？」
「ここ付けられたら…」
「何が？」
「これ…」
「どこ」

単語のみの会話からくるりと体をの向きを変えて理世は見せる。

「…あぁ、それ？わざとじゃねぇのよ」
「はい？」
「ほら、理世がめっちゃ気持ちよさそうだったから、つい」
「つい…で、付けられたら…どうするのよ」
「ん？確信犯のがよかった？」
「そういう意味じゃ…ﾝ」

そういう理世の返事を待たずに悟浄は少し下にもう一つ紅い華を咲かせた。

「…ち、ょっと…」
「これなら満足？めっっちゃ意識した。」
「そんなためなくてもいいのよ、見えたらどうするのって…」
「別に？だって三蔵も八戒も知ってんだろ？」
「だからって…見せたくない」
「見せたくないって…恥ずかしい？」
「少し…でも、それよりも…」
「ん？」
「私だけが見えてたらいいの…」

そういう理世の顔を見て悟浄はハハっと笑いだす。

「笑い事じゃないよ」
「俺的にはどんどん見せてほしいけど？」
「やだ」
「頑なだねぇ」

理世の首筋にぺろりと舌を這わせる。

「舐めるのはいいんだろ？」
「…ﾝﾝ…」
「あれ、これも好きになった？」
「…ばか…」

そう言いながら悟浄の胸に顔を埋めた理世だった。