第1章 社畜OL
十分程度だろうか…
「あーぁあ、終わった終わった!」
「…疲れましたねぇ」
「思ってねぇだろ、お前それ」
「腹減ったぁ!」
「ここで休憩ってのも景観悪いので、移動しますか」
「だなだな!腹減ったよ!」
「てめぇはそれしかないのか!ほんっっと脳みそまで胃袋だな!」
「うるせぇ!ゴキブリ!」
「て、め!!ゴキブリで止めんな!」
「行きますよ?理世」
「…え?」
「ここで放置でも構わないっていうならそれでもいいがな」
「や、やだ!」
いつまた襲ってくるかわからない妖怪たちを相手に出来る訳もない。そう思って理世は急いでジープに乗り込んだ。
「…で?しっかりと目ぇ、覚めた?」
「悟浄さん…」
「慣れねぇって。いつもみたいに悟浄でいいって!」
「…そうは言っても…」
「悟浄?理世、少し記憶が曖昧になってるみたいなんですよ。だから優しくしてあげてくださいね?」
「マジで?」
「…はい」
「俺も悟空でいいかんな!」
「ん、」
「僕も八戒って呼び捨てで。」
「あの、三蔵さんも?」
「気持ちわりぃ」
「……はい?」
「あー、三蔵でいいってよ」
「わかりにくいですね…」
「そういうやつよ」
「うるせぇ!」
そう話しながらもあいまいになっていた思考のまま、理世は一行にそのままついていくことにしたのだった。