第1章 社畜OL
ここで理世の頭をよぎったこと…それはただ一つだった。
これって……転生…した?
この一択にたどり着いたものの、ただそれを明らかに証明するものは特段見つからない。とはいえ、自身の記憶があやふやというだけでこの人たちの中には理世自身が息づいている…となれば何かしらの原因があるのだろう…そう考えるしかなかった。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「なんですか?」
「私ってなんでここにいるんでしょうか?」
「ぁあ?」
「…あー、それはですね…」
「てめぇが一緒に行きたいってガキみたいに駄々こねたんだろうが…」
「三蔵、言い方」
「いいんです。駄々こねて…って、それだけで男旅の中に私いるんですか?」
「まぁ、その理由なんですけど」
そんなことを話している時だった。
ゲヘヘヘヘ…
気味の悪い声と同時に周りからワラワラと集まってくる。
「…何、この人…」
「間違えるな。人じゃねぇ」
「人じゃないって…そりゃ確かに顔色悪いし…」
「顔色って…ソコ?見るの」
「へ?」
トン…っと肩に腕を回されたと思えば耳もとで話をする。それはさっきの赤髪の悟浄だった。
「…あの…」
「んー?まぁ、待ってな?」
そう返事をすれば三蔵以外の三人がジリっと責め立てる大人数に向かっていく。
「…あの、三蔵さん!あれ!どうにか止めないと!」
「必要ねぇ。止めればこっちが死ぬ」
「…死ぬって!」
反論の余地もないままに敵をなぎ倒していく。あたりには血の匂いが充満しているものの、近くに三蔵がいるという安心からか、理世はそれほど怖くなかった。