第10章 呼び出された理由
「適当に座れ」
「適当にって…」
しかし、椅子に座ろうにもその一つしかない椅子には三蔵が座っている。
「…ここでいいよ、何?」
「……」
「ねぇ、三蔵?私何かしたかな」
「特にてめぇはしてねぇな」
「……え、っと…・・じゃぁなんで呼び出されたの?」
「悟浄…」
「え?」
ドク…っと鼓動が跳ねる。しかし、それ以上にじっと三蔵のアメジストアイに見つめられているせいもあってだろう。緊張が隠しきれていなかった。
「…ハァ…何かあったんだろう?」
「八戒にも聞かれたけど…何も…」
「嘘つくならもっとわかりにくく、上手く吐くんだな」
「…えっと…」
「怒らねぇよ、何聞いても」
「…・・」
「さっさと吐け」
そう言われて理世はきゅっと唇をかんだ。そのまま観念したかの様にゆっくりと話し出す。
「えっと…」
「先に言っておく。嘘は吐くんじゃねぇ」
「…ッッ」
「……それで?」
「悟浄と…その…シた」
「したって?」
「その…情事…?」
「なんで疑問形なんだ、」
「エッチ…した…」
「あぁ、……それで?」
「それで…って…それだけ…」
その三蔵の問いかけに一気に理世の脳内にはクエスチョンが飛び交った。隠していたことはすべて吐き出した。嘘でもなく、これだけ…そう思っていたところ、三蔵にもっと先を要求されている事態になっているのだから、それもわからなくもない。
「あとは?」
「あと、?」
「ほかに隠してることはねぇかって言ってんだ」
「他……あ」
「あるんだな?」
「……誘導尋問…」
「なんとでも言え、さっさと言えって言ってんだろうが」
「……その…でもこれいう必要ある?!」
「必要性の有無は俺が決める」
「俺様だ…ブラック企業だ…」
「ぁあ?」
「……セクハラ」
「なんとでも言え。」
「・・セフレ」
「は?」
「だから…ッッ!セフレになったって事…」
その理世の回答に今度は一瞬三蔵の思考が停止した。